建物の力(ちから)  と  蕎麦

立山町にある とある店に 蕎麦を食べに行きました。 蕎麦好きの人なら だいたいこれだけで あっ!あそこの店かな? と 勘付く人も多いのではないかと思います。

 

 

 

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建物も とても風情があり、いい雰囲気です。 建物に関しての細かい配慮としては、 まず 雨樋が竹です。今では 塩ビが普通です。 こんな ところにも とても良いセンスを感じます。 お店ということもあり、あえて竹にしてあるのですね。

 

 

30~40分ほど 7組の先客 順番を 待ち、いざ店内へ

 

 

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堀炬燵形式の縁側に座り 中庭を望みながら 食べるレイアウトになっており、また その中庭が丁寧に作られていました。 心地よい風に吹かれ 木々がサワサワと音を出して揺れ、カエルの鳴き声が 聞こえてきます。とても静かな 店内。また 見上げれば 素晴らしい 造り天井や軒裏。

 

また いかにも 店舗という造りではなく、まるで民家のような造りなのも良く、親しみを感じました。

 

もう これだけで 料理に 大きな調味料的な役割を 与えているのは確かです。店の造り 雰囲気 は 料理に大きな影響を与えます。特に 影響が与えられるのが 和食。我々が 日本人だからこそ 作用されるのではないかと思います。

 

洋食でいうと ホテルで、店員さんに椅子をひいてもらい、テーブルにはショウプレートに飾りナプキンが置いてあり、ナプキンを取ると ショウプレートには 素晴らしい洋画のデザインが施されていて、その左右には 指紋ひとつ無いゴブレ、ピカピカのオードブルフォークナイフ、ソーススプーン、フィッシュ ミートフォークナイフ デミカップ が ずらっと並んでいたら 背筋を伸ばしてしまう感じでしょうか。(分かり難い、、)

 

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蕎麦に話は 戻りますが、あとは 盛り付けに使われる 食器にもセンスを感じずにはいられませんでした。季節のご飯が盛り付けられている器が 木です。木の漆塗りの木箱に 入っていました。 また 料理を運ぶ順番も 最初に 先膳のように 木の先膳盆に そばつゆと香物とご飯だけが運ばれてきました。 香物とご飯を食べている途中に 蕎麦が運ばれてくるという 流れでした。最後に 蕎麦湯。 所々に こだわりとセンスが 光る お店でした。

 

写真には ありませんが、廊下も 畳の廊下で 足で感じる感覚もよかったです。トイレにも上げ下げの雪見障子が使われ 和の雰囲気を感じ。中庭に吹く風の音 と カエルの鳴き声の中 食べる蕎麦は 非常に美味しく感じました。

 

来店されている お客さんも 店の 建物、雰囲気と音 に酔っている感覚が 手に取る様に 分かりました。カエルの鳴き声が 聞こえる程に  皆が静かに食事と雰囲気を楽しんでおられました。 会話も忘れる程 酔える空間。すごい事だと 思います。

 

 

IMG_6615.JPGのサムネール画像

 

建物に関わる仕事をしている者として このような建物を見ると とてもそそられます。 また 建物が人に与える力(ちから)が 人の 味覚までもに作用する事を 考えると 嬉しくてなりません。 とても やり甲斐のある仕事をしているのだと 実感できる瞬間でもありました。